本日は「いちこLOG」で初めての書評をご紹介してみようと思います。
日本で話題になっている韓国の小説「82年生まれ、キム・ジヨン」です。
韓国でのME TOO運動等で100万部を突破したベストセラー小説です。
日本でもAmazonランキングで第1位を獲得した話題作です。
キム・ジヨンは1982年生まれの韓国人女性の中で一番多い名前なのだそうです。
筆者は1982年生まれの韓国人女性代表として名前を付けたとのことです。
ある日突然、自分の母親や友人の人格が憑依したかのようなキム・ジヨン。誕生から学生時代、受験、就職、結婚、育児…彼女の人生を克明に振り返る中で、女性の人生に立ちはだかるものが浮かびあがる。女性が人生で出会う困難、差別を描き、絶大な共感から社会現象を巻き起こした話題作! 韓国で100万部突破! 異例の大ベストセラー小説、ついに邦訳刊行。
(Amazonより)
姉弟の間で弟が優遇される子供時代、苦労して大学入って就職して、結婚して出産して退職して子育中であるジヨンに他人の人格が憑依したかのような症状が出てきます。
治療の一環として精神科の担当医へ自らの半生を語る、というストーリーです。
私いちこも近しい世代です。
就職難を経験して総合職として働いてたら晩婚になったというロスジェネ世代です。
読了後、主人公に共感する部分が数多くありました。
世間には読後に共感した方のSNSでのつぶやきやレビューが多数存在します。
韓国の母は偉大である
主人公の父は公務員を早期退職します。
退職金を元手に事業を興そうとしますが、しっかり者の母は大反対し、食堂を始めることに。
紆余曲折がありましたが、母が立地から思い付いたお粥屋さんがヒットし、父はかつての同僚達の中で一番のお金持ちとなり、鼻高々なのでした。
地方の農家に生まれた主人公の母は将来の夢を諦め、中学校卒業後に工場で働きます。
姉と同様の道を選んだのです。
お給料は、兄弟の学費を支援を支援するために仕送りをします。
おかげで兄弟は医学部に通うなど社会的な成功をおさめます。
結婚してからも子育てや家事をこなしながらも内職で貯金に励みます。
頼母子講(複数の有志でお金を出し合い、必要時にまとまったお金を融資する民間制度)を利用してマンションを購入します。
それまでの部屋には存在しなかった姉妹だけの部屋を作りました。
主人公の母の勤労ぶりには頭が下がります。
私は主人公の母は尊敬し、お手本にしたい生き方だなと思いました。
(ちゃんと働かなくては!)
80年代の韓国では兄弟姉妹間でここまで学歴や家庭内の待遇に男女格差があったんですね。
今からたった30年ちょっと前の頃、ソウルオリンピックの頃です。
儒教の影響で韓国は日本以上な男尊女卑な社会と聞いていましたが、、、
ここまで大きな差があったとは、私も驚きました。
韓流ドラマを見ていても、ピンチの時に強いのはたいていの場合、母です。
父はオロオロしたり、酒におぼれたりで全く役に立たないケースがよく見られます(笑)
大好きな「お願い、ママ」のオンマ・サノクはとっても働き者。
サノク役のコ・ドゥシムは2015年KBS演技大賞受賞!
韓国アジュンマは働き者である
小説では父が公務員を退職後に始めた食堂は当然のように母が切り盛りしています。
現実の韓国の飲食店も同様のように感じます。
韓国は日本よりも飲食店の数が多いです。
創業者の名前を付けた老舗の名店が多いのですが、大抵女性の名前なんですよね。
食堂経営の中心を担うのが妻であるようです。
韓国では、妻がせっせと働いている最中に、夫は常連さんとのんびり話しているというシーンはよく見かけます。
(働き者の男性店主ももちろん存在します)
例えば、お客さんがまばらな時間帯に
妻はもやしやネギなど野菜の下処理を行っている最中に夫はテレビを見ている、とか。
また、韓国では食堂の従業員で中高年以上の女性(アジュンマ)が多い印象があります。
日本だとあまり見かけない50代後半以上の女性店員さんも多いのです。
(最近の日本にはいるのかもしれませんが)
アジュンマ店員さんは日中だけではなく夜の時間帯でも見かけます。
韓国は日本以上に学歴社会ですので、子供の教育費もかかります。
家計を助けるためにパートで働くアジュンマが韓国には沢山います。
韓国人男性は恋人時代「は」優しい
韓国人男性は日本人男性よりもレディーファーストな振る舞いが上手な気がします。
恋人など家庭外の女性には優しいんです。
韓国にいますと、デートの時に花を贈ったり、彼女のカバンを持ってあげている男性をよく見かけます。
女性をちやほやするのは恋人時代まで。
結婚したら自分の両親(嫁の立場では舅姑)を立て、旧正月や旧盆は夫の実家に帰省して働かなくてはならないのです。
(最近はこのようなケースばかりではないと聞いていますが、、、)
かつての韓国人女友達といちこといちこの日本人女友達の会話をご紹介します。
韓国のお正月、お盆では祭事や食事の準備で女性達は大忙しです。
特に長男のお嫁さんはかなり忙しく、帰省が苦痛であると聞きます。
日本人友人は年少時に手伝いをしていないから出てくる発言なのでした。
現代の韓国女子も勉強に忙しいと聞いていますので、日本と似たような状況なのかもしれません。
私いちこの家は女性蔑視の家庭ではありませんでした。
母は3姉妹、私も姉と2人姉妹という女系家族でした。
共働き家庭に育ちましたので、年少時より手伝いは当時の平均以上にやっていたと思います。
韓国では一般的な風習である11月~12月に1年分のキムチを作る「キムジャン」も女性はかなりの重労働だったと聞いています。
現代でもキムジャンで大量のキムチを作りますので、労働量は昔とさほど変わらないそうです。
※キムチは作らずに購入する家庭も多いと聞きます
韓国では共働きで家計を支えないと望んだ水準の生活を送る難しい時代が来ています。
長時間残業などは当たり前ですので、共働きはまだまだ大変な時代です。
「1982年のキム・ジヨン」が提言した現代女性を取り巻く環境は韓国も日本も同様です。
子育てや労働に勤しむ女性が少しでも苦労が減る社会になってほしいです。
「男性だから男らしくしっかりしなければならない」とか、、、
「女性だから夫に仕えておとなしく過ごさなければならない」など、、、
やりたくない、できない義務がなくなって欲しいと考えます。
私いちこは、固定観念にとらわれずに助け合って暮らせる社会になってほしいと思います。
私も男性社会で働く中でしなやかに渡り合える仕事で充実させられるように頑張りたいと思います。
※この記事を公開した後、退職・駐在帯同で無職となっていますが、何かしらの形で働くつもりです。
映画が2019年10月末に韓国で公開
「82年生まれ、キム・ジヨン」は2019年10月末に韓国で公開されます。
チョン・ユミとコン・ユ主演で韓国でも話題になっているようです。
日本での公開はまだ先になると思いますが、楽しみにしたいと思います!
いかがでしたか?
この小説に共感を覚える女性は多いのではないでしょうか?
仕事と家庭の両立、特に仕事と育児の両立はなかなか解決できない難しい課題だと思います。
苦労を抱え込まずに、助け合っていける社会になって欲しいと切に願います。
本日もお読みくださいましてありがとうございました。
以上、いちこでした~。