本日は、こちらのニュースをご紹介します。
おっと、このニュースを見逃してました。https://t.co/f4JPxrFTw1
— いちこ🇯🇵🇲🇾🇰🇷🇹🇼🇦🇺 (@iticooo) November 13, 2019
2019年4月に判明したアシアナ航空の売却のニュース。
7か月が経ち、売却先の入札が行われました。
韓国建設大手のHDC現代産業開発に優先交渉先に決定したとのことです。
2019年4月にアシアナ航空売却話が浮上
2019年4月時点でアシアナ航空の経営状況は最近の最悪な状況にはなかったのですが、、、
アシアナ航空が所属する錦湖(クムホ)グループの経営状況は悪化し、”高値で売れそうな企業”であるグループ中核のアシアナ航空が売却されることになりました。
2019年4月は日韓路線が好調だったのに、、、
売却先を探している間に韓国航空業界は急速にが悪化してしまいました。
売却先の入札には間が悪い時期だったと言えます。
そんなタイミングで決まってよかったなぁという印象です。
アシアナ航空はHDC現代産業開発を優先交渉先に選定
アシアナ航空は入札の結果、一番高値をつけたHDC現代産業開発を優先交渉先に選定したそうです。
韓国航空大手、アシアナ航空が、韓国建設大手のHDC現代産業開発に売却されることになった。アシアナ筆頭株主の錦湖(クムホ)産業が十二日、現代産業開発と証券会社の企業連合を優先交渉先に選定したと発表した。年内にも契約を結ぶ見込み。
最終入札には、チェジュ航空を傘下に持つ愛敬(エギョン)グループの企業連合など三陣営が応札。韓国メディアによると、現代産業開発の陣営は他を大きく上回る約二兆四千億ウォン(約二千二百五十億円)程度の買収額を提示した。
現代産業開発は、ホテルや免税店を手掛けている。格安航空会社(LCC)のエアプサンやエアソウルなど系列企業の経営権も取得する予定で、航空事業との相乗効果を見込む。会見した現代産業開発の鄭夢奎(チョンモンギュ)会長は「アシアナ航空が最高の競争力を持てるように、支援を惜しまない」と述べた。
(東京新聞のニュース記事より引用)
チェジュ航空を傘下に持つ企業も入札に参加していたんですね。
チェジュ航空は韓国LCCの中では悪くはない方(他社の経営状況が悪い)ですので、入札に参加したんでしょうね。
韓国の航空会社の場合、外資がオーナーになることは禁じられています。
アシアナ航空は韓国内の企業のみに売却が可能という状況の中、売却先が見つかってよかったと思います。
HDC現代産業開発とは?
アシアナ航空の売却先であるHDC現代産業開発とはどんな会社なのでしょうか?
HDC現代産業開発のオーナーは鄭夢奎(チョン・モンギュ)氏になります。
社名に「現代」とあるように、かつて韓国最大の財閥だった現代グループがルーツだ。
1976年に、現代財閥の母体企業だった現代建設のアパート(日本でいう大型マンション)事業を独立させて設立した。ソウルの江南(カンナム)地域などに大型アパート団地を次々と建設して急成長した。
1999年に、現代財閥の内紛を経て、現代産業開発として独立した。
現代財閥創業者である鄭周永(チョン・ジュヨン)氏の実弟で、自動車事業を育てたことで知られる鄭世永(チョン・セヨン)氏が率いた。今の、鄭夢奎(チョン・モンギュ=1962年生)会長の父親だ。
鄭世永氏は、小型乗用車「ポニー」の開発で現代自動車を一気に軌道に乗せた。
長年、現代自動車の会長として世界市場に打って出た実績を評価する声は今も多い。しかし、実兄である鄭周永氏の息子である鄭夢九(チョン・モング=1939年生)氏(いまの現代自動車会長)に現代自動車を譲った。
鄭夢奎会長は、2018年にグループ持ち株会社であるHDCを設立し、傘下にHDC現代産業開発など事業会社を置く事業構造に再編した。
(JB PRESS記事 より引用)
ちょっと分かりづらい文章なので整理すると、、、
- 創業者は現在の会長である鄭夢奎(チョン・モンギュ)氏の父の鄭世永(チョン・セヨン)氏。
- 鄭世永(チョン・セヨン)氏は現代財閥創業者の鄭周永(チョン・ジュヨン)氏の実弟で現代自動車の会長を務めた。
- 現代産業開発は1999年に現代財閥の内紛を経て独立した。
- 鄭夢奎会長は、2018年にグループ持ち株会社であるHDCを設立。
傘下にHDC現代産業開発など事業会社を置く事業構造に再編した。
現代建設とは李明博元大統領が社長(1977年~1988年)、会長(1988年~1992年)を務めていた企業です。
1997年の韓国通貨危機をきっかけに解体した旧現代財閥の中核企業でした。
旧現代財閥傘下企業の現在
現代財閥は韓国通貨危機をきっかけに企業再編を行い、財閥は解体しました。
現在は4つのグループに分かれるそうです。
- 韓国の現代グループ。現代峨山、現代商船を中心とした財閥
- 現代-起亜自動車グループは韓国最大の自動車会社である。
代表は鄭周永の次男の鄭夢九。 - 現代重工業グループ。2002年に現代財閥から分離。
代表は鄭周永の六男の鄭夢準。 - 現代百貨店。鄭周永の三男の鄭夢根が率いている。
(2016年現在。ウィキペディアより)
アシアナ航空を買収するHDC現代産業開発は上記4つのグループとも異なる勢力のようです。
新羅免税店(サムソン財閥傘下)と提携し、ホテルや免税店事業を手掛けています。
アシアナ航空の買収で観光業全般を手掛けることになるのでしょう。
アシアナ航空の今後
アシアナ航空は、売却話で中断していた新規機材の購入などの設備投資や多額の負債など難題が山積みと言われています。
利用客のいちこ目線では下記のような改善や古さが気になります。
- 機内食のコチュジャンがチューブ式から納豆のたれ・からし的なものに変更に。
(昔はコチュジャンチューブを機内販売していたのに) - 機内誌のボリュームが減った。
- 羽田⇔金浦便の使用機材の古さが気になる。
アシアナ航空はスターアライアンスメンバー
とはいえ、アシアナ航空はANAが所属するスターアライアンスメンバーなのです。
競合の大韓航空が所属するスカイチームやJALが所属するワンワールドに比べれば、日本人にとってマイルを貯めやすい韓国の正規キャリアです。
今後もスターアライアンスメンバーのメリットを生かして経営努力を続けてほしいと思います。
アシアナ航空傘下には2つのLCCが存在
今回のHDC現代産業開発の買収ではアシアナ航空のほかに傘下のLCCであるエアプサン、エアーソウルも対象になると報道されています。
エアプサン、エアーソウル共に不買運動による搭乗率低下のため日韓便を運休、減便をしています。
エアーソウルが日本の6支店の閉鎖を決定
そんな中、エアーソウルが日本の6支店の閉鎖を決定しました。
記事中に「日本にある12支店のうち熊本をはじめ、札幌、静岡、富山、宇部(山口県)、沖縄の6支店を早ければ年内にも閉鎖する方針。」運休路線の再開見込みが無いということかも。
エアソウル熊本支店、月末にも閉鎖 日韓関係悪化で | 2019/11/12 – 熊本日日新聞 https://t.co/Usn2WlhGkA— いちこ🇯🇵🇲🇾🇰🇷🇹🇼🇦🇺 (@iticooo) November 13, 2019
エアプサンは2015年4月に設立、2016年8月より国際線運航を開始しました。
韓国系LCCの中では後発組です。
成田、関空は新規就航でしたが、日本の地方都市の路線はアシアナ航空からの引継ぎもありました。
今回の地方支店の閉鎖はかつてのアシアナ航空時代から続いた地方路線の廃止(運休路線の再開見込み無し)の前兆である気がしてなりません。
エアーソウルはバニラ・エアのように統合される可能性も
2019年10月26日をもって運航を終了した日本のLCCバニラ・エアは同じくANAの参加であるピーチ・アビエーションに経営統合されました。
バニラ・エアはANAとエア・アジアの合弁企業でしたが、経営方針の相違より合弁が解消され、ANA100%子会社となりました。
従来よりANAの傘下に2つのLCCに異論も多かったですので、経営統合が納得がいくものです。
アシアナ航空の経営合理化の案としてエアプサンとエアーソウルの統合という話が出てきても不思議ではないと思います。
ただ、エアプサンの株主はアシアナ航空のほかに釜山市やプサン企業連合が入っています。
ハブ空港も釜山郊外の金海国際空港です。
簡単にエアーソウルと統合するとは思えませんが、今後の成り行きに要注目です。
まとめ:筆者いちこの感想
アシアナ航空の売却先がほぼ決まり、ひとまず安心と言ったところでしょうか?
とはいえ、詳細を話し合ううちに売却話が破棄される可能性もありますので、予断は許さないとも言えます。
アシアナ航空本体よりも傘下のLCCであるエアプサンとエアーソウルの今後が気になります。
運休・減便から復活してくれることを祈ります。
本日もお読みくださいましてありがとうございました。
以上、いちこでした~。